正月の介護現場で感じること|利用者さんの孤独や不安に寄り添う介護士の役割

コラム

この記事は、正月という特別な時期に介護の現場で感じたことを、僕自身の経験をもとにまとめたものです。

世間では正月といえば、家族が集まり、ゆっくりとした時間を過ごす時期というイメージがあります。

しかし、介護の現場では少し違った時間が流れています。

カレンダーが新しい年に変わっても、利用者さんの生活は続きます。

食事や排泄、入浴、服薬、移動など、日常生活に必要な介助が正月だからなくなるわけではありません。

そして、正月だからこそ普段以上に寂しさや不安を感じる方もいます。

介護士にとっては普段と変わらない一日でも、利用者さんにとって正月は特別な一日になることがあります。

今回は、実際に介護の仕事をするなかで感じた、正月の介護現場と利用者さんへの関わりについて紹介します。

正月でも介護を必要とする方の生活は続いている

年末年始になると、多くの会社やお店が休みに入り、街全体がお正月の雰囲気になります。

しかし、介護を必要としている方の生活が止まることはありません。

朝になれば起床し、食事をとり、トイレへ行き、必要な介助を受けながら一日を過ごします。

介護施設だけでなく、訪問介護など在宅で生活している方への支援も同じです。

「正月だから介護も休み」というわけにはいかないのが介護現場です。

介護士側からすれば、年末年始に勤務することは珍しいことではありません。

しかし、その普段通りの支援が、利用者さんの普段通りの生活を支えています。

正月だからこそ普段との違いを感じることもある

生活そのものは普段と変わらなくても、周囲の環境は大きく変わります。

テレビからは年始の賑やかな番組が流れ、「あけましておめでとうございます」という言葉が聞こえてきます。

家族と一緒に過ごした過去のお正月を思い出す方もいるでしょう。

そんな環境だからこそ、普段は感じていなかった寂しさや不安が強くなることもあります。

介護では身体的な支援だけでなく、こうした利用者さんの小さな変化に気づくことも大切だと感じています。

正月に感じる利用者さんの孤独や寂しさ

テレビから流れる賑やかな番組や、年始の挨拶が飛び交う空気の中で、

「今日は誰も来ないのかな」

と、ぽつりと漏らす声を聞くことがあります。

普段であれば気にならなくても、「家族が集まる正月」という雰囲気によって、家族に会えない寂しさを感じることもあるのかもしれません。

そんなとき、介護士が家族の代わりになれるわけではありません。

寂しさを完全になくすことも難しいでしょう。

それでも、その気持ちを否定せず、そばで話を聞くことはできます。

「寂しくないですよ」

と介護士側が決めつけるのではなく、その方が今感じている気持ちを受け止める。

それも介護の一つだと僕は考えています。

「いつも通り来てくれる」ことが安心につながる

介護士にとって、正月に現場に立つことは特別なことではありません。

けれど、利用者さんにとっては、「いつも通り来てくれる人がいる」ことが安心につながる場合があります。

「今年もよろしくね」

その一言を交わすだけで、表情が少し和らぐ瞬間があります。

正月だからといって、何か特別なことをしなければならないわけではありません。

豪華な料理や派手な演出がなくても、

いつも通りの挨拶。

いつも通りの声かけ。

いつも通りの距離感。

その「いつも通り」が、利用者さんにとって大きな安心になることがあります。

介護士側が考える「特別」と、利用者さんが求めている「安心」は、必ずしも同じではないのだと思います。

正月の介護で僕が大切にしていること

正月だからといって、普段と大きく違う介護をする必要はないと僕は考えています。

むしろ、普段と変わらない関わりを続けながら、いつもより少しだけ利用者さんの表情や言葉に目を向けることを意識しています。

普段と変わらない声かけを大切にする

「あけましておめでとうございます」

「今年もよろしくお願いします」

そんな何気ない年始の挨拶から会話が始まることがあります。

大切なのは、特別な言葉を用意することではありません。

その方と普段から築いてきた関係性のなかで、自然に言葉を交わすことだと思っています。

小さな変化を見逃さない

正月だからこそ、いつもと表情が違ったり、普段より口数が少なくなったりすることもあります。

反対に、昔のお正月の話を楽しそうにしてくれることもあります。

そうした変化を「正月だから」と流してしまうのではなく、

「今日はどうしたのだろう」

と目を向けることも大切です。

介護士だからできることは、身体介助だけではありません。

普段から関わっているからこそ気づける変化もあります。

介護の仕事は「何も起こらない一日」を支えている

介護の仕事は、目に見える成果が分かりにくい仕事です。

正月に働いていても、必ず「ありがとう」と言われるわけではありません。

何事もなく一日が終われば、介護士が何をしたのか外からは見えにくいかもしれません。

しかし、

朝起きることができた。

食事をとることができた。

清潔な状態で過ごすことができた。

いつもと変わらない場所で眠ることができた。

その一つひとつには、利用者さん本人の力だけでなく、必要に応じた介護や支援があります。

誰かの生活が止まらずに続いていること自体が、介護の仕事の大切な意味の一つだと思っています。

派手な成果がなくてもいい。

「今日も何事もなく一日が終わった」

介護では、それ自体が大切なことなのかもしれません。

まとめ|正月も「いつも通り」を支えるのが介護

正月でも、介護を必要としている方の生活は続いています。

だからこそ、介護士も現場に立ちます。

その一方で、正月という特別な時期だからこそ、普段以上に家族を思い出したり、孤独や寂しさを感じたりする方もいます。

そんなとき、介護士にできることは決して特別なことばかりではありません。

いつも通り訪問する。

いつも通り挨拶する。

いつも通り話を聞く。

そして、小さな変化に目を向ける。

特別な日だからこそ、「いつも通り」でいることが安心につながる場合があります。

正月でも、介護士に休みがない現場はあります。

けれど、その時間が誰かの生活を支え、孤独や不安に寄り添う時間になることもあります。

僕はこれからも、特別な日だからと身構えるのではなく、目の前にいる一人ひとりと向き合っていきたいと思います。

同じように介護の現場で働く方や、家族として介護を支えている方にとって、この記事が正月の介護について考えるきっかけになれば嬉しいです。