食事介助から就寝ケアまで|介護施設で大切にしたい一人ひとりに寄り添う介護

コラム

介護施設の夕方は、夕食の準備や食事介助、食後のケア、そして就寝に向けた支援が続く時間帯です。限られた時間の中で、次に必要なことを考えながら動く場面もあります。

僕は今回、カイテクを通じて訪れた介護施設で、17時から19時まで、食事介助から就寝ケアに関わりました。

その中で、改めて大切にしたいと感じたのが、業務の流れだけでなく、目の前の一人ひとりの気持ちに目を向けることです。

「ご飯食べに食堂に行くのがしんどいわー」

利用者さんから、そんな言葉を聞くこともあります。何気ない一言ですが、介護する側の都合だけで支援を進めていないか、立ち止まって考えるきっかけになります。

今回は、夕方の介護現場での経験をもとに、食事介助と就寝ケアで僕が大切にしたい姿勢についてお伝えします。

17時から19時、食事介助から就寝ケアへ

今回の勤務は2時間でした。長い時間ではありませんが、利用者さんにとっては、夕食を取り、その後の時間を過ごし、夜の休息へ向かう大切な生活の一場面です。

職員の立場では、「食事介助」「就寝ケア」と業務ごとに分けて考えることがあります。しかし、ご本人の生活は、その区切りで切り替わるわけではありません。

食堂へ向かうまでの気持ちも、食事中の時間も、食後にゆっくりしたいという思いも、すべてつながっています。

だからこそ、僕は「この時間に何を終わらせるか」だけでなく、「この方は今、どのように過ごしたいのだろう」と考えられる介護職でありたいと思っています。

もちろん、時間や役割を意識することも必要です。大切なのは、段取りを考えることと、ご本人に向き合うことを、どちらか一方にしないことだと感じます。

「食堂に行くのがしんどい」に耳を傾ける

「ご飯食べに食堂に行くのがしんどいわー」

この言葉を聞いたとき、「食事の時間だから行きましょう」と、予定を伝えるだけで終わらせたくありません。

「しんどい」という言葉には、いろいろな意味が含まれているかもしれません。身体を動かすことが負担なのか、疲れているのか、気持ちが進まないのか。その一言だけでは、理由は分かりません。

また、食堂へ行くのがしんどいことと、食事を取りたくないことは、必ずしも同じではありません。

介護する側が先回りして意味を決めてしまうと、ご本人が本当に伝えたかったことを見落とす可能性があります。

僕が大切にしたいのは、まず「しんどいと感じている」という事実を受け止めることです。そのうえで、何が負担になっているのか、ご本人の言葉や様子から確かめたいと思います。

これは、希望を何でもそのまま受け入れるという意味ではありません。自分だけで対応を決めず、施設の職員と相談する必要がある場面もあります。それでも、最初から気持ちを否定せずに話を聞く姿勢は、忘れずにいたいです。

食事介助で大切にしたいのは、その方のペース

食事介助というと、食べ物を口元へ運ぶ動作を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、僕は、その動作の前後にも大切な関わりがあると考えています。

今、食べたいと思っているのか。少し間を置きたいのか。何か伝えようとしているのか。介助する側が次の動作を急ぐほど、そうした小さな反応に目を向ける余裕がなくなってしまうこともあると思います。

だからこそ、こちらが介助しやすいペースではなく、ご本人の反応を確かめながら関わることを大切にしたいです。

また、介助が必要だからといって、すべてを職員が代わりに行うことが、その方に合うとは限りません。ご本人ができること、手を借りたいことを知ろうとする姿勢も必要だと感じます。

一人ひとりに向き合うとは、全員に同じ声かけや介助をすることではなく、その方にとって必要な支え方を考えることなのだと思います。

就寝ケアは、一日の終わりを支える時間

食事の後には、就寝に向けたケアが続きます。ただし、就寝ケアを行うことと、すぐに眠っていただくことは、同じではありません。

食後に少し落ち着きたい方もいれば、早めに休みたい方もいるでしょう。職員側の予定だけで、その方の夜の過ごし方を決めつけないようにしたいと感じます。

自分自身に置き換えてみても、食事を終えた直後に次々と準備を促されれば、気持ちが追いつかない日もあるはずです。

ケアを始める前に、これから何をするのかを伝える。ご本人の返事や表情を確かめる。気になる言葉があれば、聞き流さずに受け止める。

特別なことではないかもしれませんが、こうした関わりを一つひとつ大切にしたいと思います。

僕にとって就寝ケアは、ただ準備を整える業務ではなく、その方が一日を終え、休息へ向かう時間に関わらせていただくことです。その意識を持って、目の前の方と接していきたいです。

短時間の勤務でも、施設の職員との連携を大切に

カイテクを通じて施設を訪れる際には、限られた時間の中で関わるからこその難しさもあります。

普段の生活の様子や、いつもの希望、慣れている介助の方法など、自分だけでは分からないことがあります。一度の会話や、その日の印象だけで、その方を理解したつもりにならないことが大切だと考えています。

そのため、ご本人との会話だけでなく、普段から支援している職員との情報共有も欠かせません。

「しんどい」という言葉についても、いつも聞かれる言葉なのか、その日は普段と違う様子なのかによって、受け止め方を考える必要があります。気になることを自分の中だけで完結させず、職員へ伝える姿勢を大切にしたいです。

短時間だからこそ、自分の関わりが終わった後も、その方の生活が続くことを意識していたいと思います。

これからも、一人ひとりと向き合ったケアを

17時から19時までの2時間。その中で関わった食事介助と就寝ケアを通して、利用者さんの言葉を受け止める大切さを改めて感じました。

「食堂に行くのがしんどい」という一言も、単なる消極的な発言ではなく、そのときの気持ちを伝えてくださっている言葉です。

忙しいときほど、業務がどこまで進んだかに意識が向きやすくなります。それでも、目の前にいるのは、気持ちも生活のペースも異なる一人の人です。

すべてを理解することはできなくても、理解しようとする姿勢は持ち続けられます。

食事介助でも就寝ケアでも、一人ひとりの声に耳を傾け、その方に合った関わりを考える。

これからも介護福祉士として、その積み重ねを大切にしていきたいと思います。