入浴介助で大切なこと|「ホッとしたわ」の言葉から考える丁寧なケア

コラム

介護の仕事をしていると、利用者さんの何気ない一言に、自分の関わり方を見つめ直すことがあります。

「来てくれたか。ホッとしたわ」

これは、僕がカイテクを通じて伺っている、とある施設で、利用者さんからかけていただいた言葉です。

今回は、この方との入浴介助での関わりを通して、丁寧なケアと安心できる関係づくりについて、介護福祉士として感じたことをお伝えします。

週2回の入浴で、僕を待っていてくれる利用者さん

その施設では、週に2回、入浴の機会があります。

僕が伺うようになってから、ある利用者さんが、毎回僕が来るのを待ってくださっていると聞きました。実際にお会いすると、「来てくれたか。ホッとしたわ」と声をかけてくださいます。介助中も終始笑顔が見られ、その表情に僕自身も温かい気持ちになります。

自分を待っていてくれる方がいる。それはうれしいことですが、同時に、その信頼を大切にしたいと背筋が伸びる思いもあります。

ただ、この言葉を「自分の介助がほかの職員より優れている」という意味で受け取るつもりはありません。その方が僕との関わりに安心を感じてくださっていることを、まず大切にしたいと思っています。

丁寧な入浴介助を求めるのは、わがままではない

その方は、身体を思うように動かすことが難しく、入浴には介助が必要です。そして、自分の身体を丁寧に扱ってほしいという思いを持っておられます。

自分で動けるなら、自分の好きなタイミングや方法でできることも、人の手を借りる場面では、相手に伝えなければなりません。

「こうしてほしい」という要望には、その方なりの理由があるはずです。痛みへの不安なのか、慣れた方法への希望なのか。それは、本人に確かめなければ分かりません。

要望の多い方を「面倒だ」「うざい」と捉える声もあります。でも、僕は、丁寧なケアを求める気持ちを、そのようには受け止めていません。

希望を伝えることは、自分らしく生活するための大切な意思表示だと考えているからです。

安心につながるケアは、小さな確認の積み重ね

僕が入浴介助で大切にしたいのは、介助を進める前に声をかけ、ご本人の反応を確かめることです。

例えば、身体に触れる前にこれから行うことを伝える。姿勢を変えるときには、つらくないかを確認する。言葉だけでなく、表情の変化にも目を向ける。こうした一つひとつを、おろそかにしたくありません。

もちろん、希望をすべてそのまま実現できるとは限りません。安全面や施設の体制によって、難しい場合もあります。

それでも、まず話を聞き、難しいときには理由を説明し、できる方法を考える。その姿勢は大切にできると思います。

「ホッとしたわ」に応えられる介護を続けたい

介護現場には、時間に追われる場面もあります。丁寧に関わりたいと思っていても、余裕を持てない日があることも理解しています。

だからこそ、利用者さんからの要望を負担と決めつける前に、「何が不安なのだろう」「どうしてほしいのだろう」と考えることを忘れたくありません。

入浴介助は、身体を清潔にするだけでなく、人に身体を預ける時間を支える仕事でもあります。

「来てくれたか。ホッとしたわ」

その言葉と笑顔を励みに、これからも利用者さんの気持ちを受け止め、一つひとつの介助を丁寧に行うことを大切にしていきます。